




御所北の地に
住むこと。
The Guide of Kyoto Gosyokita Living
京の住まいの選択肢に、
御所北が魅力的な理由とは。
伝統と現代、自然が融合した暮らしやすさが溢れる「御所北」。
そのエリアに文化・歴史の観点から深い関わり
を持つ
お二方のへのインタビューを通じ、
さらにここ「御所北」エリアの住まいの魅力を紹介します。
INTERVIEW
INTERVIEW 01
茶の湯の「和敬清寂」の心が息づく、
御所北の地の風と。
裏千家教授|京都府文化力による未来づくり審議会委員|同志社大学講師
ランディー・ チャネル宗榮

ゆるやかな時が流れ、
京の趣と新しさが調和する。
私の好きな御所北エリアは、京都御所の北側一帯に広がり、歴史の深い趣と静けさを色濃く湛えています。御所東に位置する梨木神社を稽古の場として利用するようになってから、自然と御苑や御所北を散策する機会が増えました。静寂に包まれた道を歩き、一服のお茶をいただくように風の音に耳を澄ますと、移ろいゆく季節の気配がそっと心に染み入ります。その瞬間、先人たちが育んできた“和敬清寂”の心が、この地の風とともに今も生き続けているのだと感じるのです。また、相国寺をはじめとする由緒ある社寺が点在し、その静謐な佇まいと深い祈りの気配が町をさらに落ち着いた雰囲気で包み込んでいます。
一方、周辺には町家を改修したカフェやレストラン、個性的なショップが軒を連ね、新しい文化の息吹が鮮やかなコントラストを添えている。古き良き伝統と現代の感性が交差する風景は、まるで一碗の抹茶の中に、過去と未来の美意識がゆっくりと溶け合っているかのようです。
もしこの地に暮らすなら、早朝には御所を歩きながら季節の移ろいに心を寄せ、夕暮れ時には歴史を感じる街並みを眺めて過ごすのでしょう。ときには町家のカフェに立ち寄り、ゆったりとくつろぐひとときも生まれるはずです。歴史と未来が交差するあわいに、茶の湯の精神がしなやかに息づく御所北。この地は、京都の奥深い魅力と向き合いながら、心豊かな暮らしを育むためのかけがえのない舞台です。

茶道の魅力を次の世代へ。
一碗に込めた想いが穏やかに息づく。
カナダから日本へ渡り剣を振るう武の世界を探求するうちに、単に身体を鍛えるだけではなく、精神を磨く道を求めるようになりました。そんなとき、近くに暮らす茶道の先生に誘われて出会ったのが茶の湯です。初めて抹茶を点てたとき、立ち居振る舞いや道具の扱いが武道の所作と驚くほど通じ合うことに気づき、胸が高鳴ったのを今でも鮮明に覚えています。茶室における一つひとつの動作は、剣を握るときと同じく“心の在り方”を映し出す‥‥ その奥深さに魅せられ、私は裏千家学園茶道専門学校へと進みました。
いまでは梨木神社を拠点に茶道教室を開き、月に数回は東京など各地で講義やワークショップをおこなっています。また、和カフェ「らん布袋」の経営や京田辺産の抹茶をプロデュースするなど、「抹茶に触れたことがない方にも茶道の面白さを感じてほしい」という想いを広く伝える活動にも力を注いでいます。こうして武と茶が出会い、真の文武両道へと続く道は、これからも深まりを増していくと信じています。



気軽に茶道や抹茶が楽しめる、
モダン和カフェ。
裏千家茶道家ランディー宗榮(そうえい)さんがプロデュースするカフェ。「茶道を楽しんでもらえる場所を」という想いから誕生したこの空間では、京都産100%のオリジナル抹茶を使用した茶道体験やスイーツが楽しめる。店内は大正浪漫とアール・デコの調和が美しいデザインで、二階では茶道教室も開催。メニューもオリジナルレシピのカレーや手作りスイーツ、季節限定ドリンクなど多彩に揃う。
SHOP DATA
- らん布袋/カフェ
-
TEL : 075-801-0790
京都市中京区上瓦町64
営業時間 : 11:30〜20:00 (金曜日11:30〜23:00)
定休日 : 木曜日


PROFILE
- ランディー・ チャネル宗榮
-
裏千家教授
京都府文化力による未来づくり審議会委員/同志社大学講師 -
カナダ出身。武道を学ぶために来日。「文武両道」精神から茶道を始め、
裏千家学園茶道専門学校で学び、茶名「宗榮」を拝受。
京都・東京で茶道教室を開催する他、講義・講演、CM監修、メディアにも出演。茶道普及の一環で和カフェ「らん布袋 」を経営、京田辺産の抹茶もプロデュース。
武道は、二刀流練士六段・田宮流居合練士五段・弓道五段等。
2016年執筆本「The Book of Chanoyu」を刊行1万部を突破。
INTERVIEW 02
アートの新しい風と、
歴史の静謐さを感じる暮らし。
アートプロデューサー | Art Collaboration Kyoto フェアディレクター
山下 有佳子

歴史とモダンが共存する
この街に流れる特別な時間。
御所北エリアを歩くと、不思議な刻の重なりを感じます。京都の中心地の烏丸御池から少し足を伸ばすだけで、路地の風景はがらりと変わり、昔ながらの町屋が続くかと思えば、その奥にモダンなカフェやギャラリーが顔を出す。それは季節が移ろうごとに、街の匂いや光の色合いまでもが変化して、まるで四季折々の風情がレイヤーのように重なっていくようです。
相国寺や大徳寺などの歴史深い建造物に近く、どこか静かな気品が漂う一方で、若いアーティストたちがそこに“新しい刺激”を吹き込んでいる。このギャップが作り出すドラマも、御所北らしい魅力ではないでしょうか。私が最も心惹かれるのは、茶の湯と同じ「丁寧に時間をかける」という文化がまだ日常に溶け込んでいること。お茶会の準備をするようにお気に入りの花を一輪飾り、旬の野菜を扱う老舗の八百屋さんを訪ね、その味わいに感動しながらゆっくり食卓を整える。そんなふうに暮らすことで、何気ない毎日がまるで一つのアート作品みたいに見えてきます。歴史の静謐さと、アートの新鮮な息吹が交差するこの場所での暮らしは、心の奥行きも、豊かに広がっていくのではないでしょうか。


ロンドンで見つけた茶の湯に秘められた
アートとの共鳴。
私は京都の老舗の茶道具店に生まれ、幼い頃から茶の湯の世界を、ごく自然に肌で感じながら育ちました。お茶の作法をただの決まりごとだと思っていましたが、ロンドンでアートビジネスを学び、世界中の作品や作家と触れ合ううちに、それが単なる形式ではなく豊かなコンセプトを持つものだと気づかされたのです。ここでいうコンセプトとは、単に見た目の美しさや技術のことではなく、その背景に流れる「どんな意味やストーリーを込めるのか」という部分。たとえば「お茶碗をひとつの風景として眺める」という見立ては、器そのものだけでなく、その中に広がる季節感や、手に取る人の想像力までも含めて「ひとつの作品」として捉えるものです。視点を変えることで新たな価値を生み出すという発想は、茶道の見立ての文化と重なり合うものだと感じています。
思えば、千利休が追求した美意識も、まさにその視点の変換にあるのではないでしょうか。 彼の革新的な感性は、時代を超えて受け継がれ、今もなお多くのクリエイターに影響を与え続けています。茶道が大切にする見立てや空間の余白、そして日常の中に美を見出す感性は、現代アートの発想とも共鳴している‥‥。その共通点に気づいたとき、茶道と現代アートは別々のものではなく、一本の線でつながっていると感じました。

PROFILE
- 山下 有佳子
-
アートプロデューサー|
Art Collaboration Kyoto フェアディレクター -
1988年、京都で茶道具商を営む家庭に生まれる。慶應義塾大学卒業後、ロンドンのサザビーズ・インスティチュート・オブ・アートで、アート・ビジネス修士課程を修了。サザビーズジャパンで現代美術を担当したのち、2017年にGINZA SIX内のギャラリー「THE CLUB」のマネージングディレクターに就任。
2022年、「Art Collaboration Kyoto」フェアディレクター、京都市成長戦略推進アドバイザー(アート市場活性化担当)に就任。

臨済宗相国寺派の大本山「相国寺」。
それは崇高な静寂が日常に寄り添う場所。

時を超え、穏やかさと気高さが息づく
地域の誇り。
京都市上京区に位置する臨済宗相国寺派の大本山「相国寺」は、豊かな自然と歴史が調和する京都御所北エリアのなかで、気品と格式を誇る特別な存在です。1392年(明徳3年)に室町幕府三代将軍・足利義満の発願により創建され、600年以上にわたり日本文化と精神の象徴としてその地位を保ち続けています。
境内を歩むと、禅の美意識が息づく庭園や、長い歴史を重ねながらも凛とした佇まいを見せる木造建築が随所に見られます。とくに、日本最古の法堂建築として重要文化財に指定された法堂(ハットウ)は、僧侶が仏教を講義する場として特別な空間を提供しています。また、四季折々に変化する庭園は、春の桜、夏の蓮、秋の紅葉と、訪れるたびに異なる美しさを見せ、訪問者の心を和ませています。

これまでの暮らしにはない豊かさと特別感を。
このように相国寺エリアでの暮らしは、歴史と自然が織りなす豊かな環境のなかで、心身ともに充実した生活を送ることを意味します。休日には整備された散策コースを歩き、静寂の中で季節の移ろいを感じたり…。春と秋の特別拝観や月二回の坐禅会、法話など、多彩なイベントも開催されており、心を静めるひとときを提供。また、弁天社や宗旦稲荷への参拝も、心の安らぎをもたらします。 相国寺承天閣美術館では、多数の国宝や重要文化財が所蔵されており、芸術と歴史の奥深さに触れる貴重な機会を提供しています。定期的に開催される特別拝観や文化イベント、坐禅会や法話は、禅宗への関心を広げるとともに、地域コミュニティとの絆を強化しています。 600年以上にわたり、日本の歴史の息吹を見守ってきた相国寺の壮麗な姿が日常の景色に溶け込むことで、日々の生活に豊かさと特別感を提供してくれるでしょう。
